時代に愛され、スタイリッシュに変化を続ける野田琺瑯

野田琺瑯 キッチンツール 

”琺瑯”
この漢字を、読み書きできる方はどれくらいいるでしょうか?

正解は、”ホーロー”。

一般的に、”ホーロー”と記されることが多いようです。私は今でこそ読むことはできますが、書くのは少し自信がありません。

ホーロー製品は、オールマイティーなキッチンツール。その中でも人気の保存容器は、調理の下準備の段階から主役級の存在感を放っています。

オーブンや直火調理後はそのまま置くだけで、オシャレにテーブルを彩り、おいしい時間を過ごした後は、手軽にふたをして保存!という大活用術は、令和という時代を生きる私たちの思考やライフスタイルにフィットし、愛され続けています。

さまざまなホーローメーカーの商品がありますが、今回は私が愛用している野田琺瑯をご紹介します。

目次

ホーロー(琺瑯)とは?

ホーロー(琺瑯)とは、鉄や鋼、アルミニウムなどの金属の表面に、ガラス質の釉薬をかけて高温で焼き付けた素材です。

簡単に言うと、金属にガラスのコーティングをしたものです。英語ではEnamel(エナメル)と呼ばれており、もしかしたらこちらの方がイメージしやすいかもしれませんね!

ホーローは、金属の強度と熱伝導の良さ、そしてガラスの美しさと摩耗や錆、腐食にも強いという性質を兼ね備えた素材なのです。

ホーロー(琺瑯)って日本語?ホーローの語源

ホーロー(琺瑯)という難しい漢字はどこから来たのかたどってみると、古代インド語のサンスクリット語で「七宝質」を意味する「フーリンカン(払菻嵌)」にさかのぼるという説があります。

「払菻嵌(フーリンカン)→払菻(フーリン)→発藍(ハツラン)→仏郎嵌(フーロウカン)→法郎(ホーロー)→琺瑯(ホーロー)」となったという解釈ですが諸説あり、この言葉の由来ははっきりとしていないそうです。

ちなみに、「七宝」とは、金、銀、瑠璃(るり・ラピスラズリ)、玻璃(はり・水晶や無色のガラス)、硨磲(しゃこ・白い珊瑚)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)といった7種類の宝物のことです。

ホーローという名前がこの「宝物」を意味する言葉から生まれたことを知ると、これまで身近だったホーロー製品がとても高貴なものに感じられますね。

参考:琺瑯の歴史

長い歴史とロマンに満ちたホーロー

ホーローの歴史は長く、現存する最古のホーロー加工品はエーゲ海のミコノス島の発掘品に由来します。
紀元前1425年頃と推定され、当時は金の表面の凹みに青色ガラスのホーローが充填されていたそうです。

また、今から約60年ほど前の1965年に日本でも展示され、栄華を示すその輝きに多くの人が魅了された、
古代エジプト・ツタンカーメン王の黄金マスクもホーロー製品なのです!

彩色ガラスや宝石、半貴石などで煌びやかに装飾が施されたそのマスクは、3000年以上の歴史を経ても今なお輝きを放ち、その美しさを現在に伝えています。

ホーローはシルクロードを渡り、現在の中国、朝鮮半島を経て日本に上陸します。
日本にその姿を現したのは聖徳太子の飛鳥時代と言われており、奈良県明日香村の牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)から出土した七宝金具が、現存する国内最古のホーロー装飾品とされています。

そして奈良時代には、世界的にも有名な奈良の正倉院の十二陵鏡が作られ、その後、京都の桂離宮のふすまの引き手や釘隠しなどに使われながら、ホーロー独特の美しさと機能を人々に印象づけていったのでした。

さらに江戸時代になると、香りを楽しむ際の香炉や薬や小物を入れる印籠、住宅のふすまの引き手や釘隠しなど、
裕福な人々の暮らしの中でホーローはその文化を開花させていきます。

その中でも代表的なのが、徳川家康を祀った世界遺産の日光東照宮。日光東照宮はホーロー装飾品の宝庫と言われているそうで、本殿右側の小部屋「将軍着座の間」の唐戸(開き戸)に入れられた葵の紋や、坂下門の建築飾り金具、東照宮の中心にある拝殿の蔀戸(しとみど)の飾り金具、釘隠しなどの建築資材にもホーローが採用されているのです。

約300年の時を経ても装飾の美しさは保たれており、ホーローの耐久性が証明されていますね。
このような傾向は日本だけでなく世界的に見られ、18世紀ごろまでは人々はホーロー装飾の美しさに魅了されていったのでした。

現在のような、鍋や浴槽、建材、化学機器、医療器具などの実用性が向上したホーローが作られるようになったのは、江戸時代から明治時代にかけてで、実用品としての歴史はまだ新しいようです。

参考:琺瑯の歴史

野田琺瑯との出会い

野田琺瑯との出会いは、今から20年以上前になります。

それまで使っていたケトルは、暑い季節に麦茶を沸かして流水で冷やしておくような、”やかん”という名前がとっても似合うタイプのもので、実用性はあっても、お気に入りを大切に使っているとはとても言い難いものでした。

形はまあまあ可愛いし、汚れもなく、壊れてもいないのでまだ使えるけれど、ちょっとオシャレで、それを見るだけで気分が上がるものに買い替えたいという気持ちが・・・。

「新しいケトルは、ホーローがいいんじゃない?」という母の一声で、キッチン用品を取り扱っている雑貨屋や百貨店に足を運び、ホーローのケトルはほぼ見つくしたのではないか?というくらい比較をして、最終的に納得した1つを選んだのでした。

そんなわが家に仲間入りしたのが、丸みを帯びたなんとも可愛らしいレトロな形の真っ白なケトルで、持ち手と蓋の取っ手部分は木製の野田琺瑯のケトル。その姿は、「外は雪が舞う季節にストーブのやわらかい暖かさを感じる部屋で、ブランケットに包まって温かいココアを飲みながら、ケトルの口先からゆらゆらと優しく姿を現す湯気をぼーっと眺める時間に一番ぴったりなケトル」と言ったら想像がつくでしょうか?

あたたかみのある可愛らしい形や、ぬくもりを感じる木製の取っ手、そしてホーローならではの艶のある真っ白な色が本当に大好きでした。

サイズや形は当時の商品と少し違うようですが、野田琺瑯のWebサイトの【POCHKA ケトル】という商品がそれに該当するのではないかと思います。
参考:野田琺瑯のケトル

その頃の私は、ホーローという素材や野田琺瑯というブランドの存在すら知らず、母の一声で手に取った野田琺瑯でしたが、その後、保存容器、二代目のケトル、キャセロールと野田琺瑯にハマっていくことになるのです。

野田琺瑯とは

野田琺瑯は、今から約90年前の1934年の創業以来、ホーロー一筋、ホーローを究め続ける日本のメーカーです。

国内で唯一、すべての工程を栃木県栃木市の工場で一貫生産。
部品を含めたすべてが日本製で、職人がひとつひとつ手作業で作っている、日本が誇るホーローメーカーなのです。

創業当時は、写真の現像用バットや漬物タンク、バケツ等の生産をされていたようですが、1970年代頃からは、家庭で使われる漬物容器や鍋などが主力製品になっていきました。

2000年代になると、シンプルな白色で蓋つきの容器を少量生産からスタートし、現在では、この蓋つき容器を使用したレシピ本やムック本が発売されるほどの人気商品となっています。

私たち人間が生きていく上での基本となる毎日の食生活の中で、「安心して使え、心が安らぐ、便利なツール」という野田琺瑯の理念が形となり、時代を越え、ホーローの長い歴史を柔軟に変化しながら、私たちの毎日の生活を支え続けているということがよく分かりますね。

参考:野田琺瑯について

使うほどに愛着を増していく野田琺瑯

わが家の初代・野田琺瑯の真っ白いケトルは、20年以上、家族に愛され続けました。
買い替え時の希望通り、ちょっとオシャレで、見るだけで気分が上がり、ホッと落ち着くようなそんな存在。
家族も同じように感じていたと分かったのは、二代目のケトルの購入を考えていた時でした。

大切に使ってきたはずのケトルですが、蓋の裏側の縁部分のさびやケトル内側の汚れが気になり二代目を迎え入れることに。家族に「今度はどんなケトルがいい?」と尋ねると、「前と同じのがいいんじゃない?可愛いし!」や「まだ使えるんじゃないの?」といった返事が!

私だけでなく家族も、約20年という時間をともに過ごしてきたこの初代・野田琺瑯ケトルに愛着を感じていることを知り、「やっぱりそうだよね~!かわいいよね~!」とニコニコしながら返事をしました。

ただのキッチンツールと思ってしまえばそれだけの話しなのですが、わが家の場合は、ただただその存在が愛おしく、私たち家族と一緒に毎日を生き、私たち家族と一緒に年を重ねていく…。家族の一員のような、そんな存在なのです

この20年の間に、ケトルだけでなく保存容器やキャセロールもわが家に迎え入れました。
気が付けば、わが家の野田琺瑯の商品はすべて白。最近では都会的で上質感のあるシックな色や、やわらかい優しい色合いの商品もありますが、わが家のキッチンには白が一番似合うようです。

その中でも特に活躍しているのが、5年以上は愛用している”ホワイトシリーズ”のレクタングル深型 L琺瑯蓋付という保存容器です。

野田琺瑯 ホワイトシリーズレクタングル深型 L琺瑯蓋付 保存容器 

これまで、プラスチック製やガラス製、陶器製などの保存容器を試してきましたが、ホーロー製の使い勝手の良さは群を抜いています。

★食品の色やにおいが付かない

まず、容器に食品の色やにおいが付着しないところが一番のお気に入りポイントです。
ちょっと色移りが心配なものや油っこい物、においが強いものを入れても、中性洗剤で洗えば何事もなかったかのようにスッキリ!頻繁に使うものなのに、毎回、真新しい容器を使うような感覚で気持ちよく使い続けられる容器。
使うたびに、これからも大切に使っていこうと思わされる存在です。

★とにかくタフ

そして、簡単に割れたり欠けないタフなところも魅力です。(表面はガラス質なので、注意をしなければいけませんが…)
以前はお気に入りのガラス製の容器を割ってしまったことが度々ありましたが、ホーロー製を使い始めてからは、今のところそんな悲しい思いはしていません。
野田琺瑯のWebサイトに「かたちがある限りお使いいただけます」とあるように、大切に使い続けることで、次の世代に継承していけるキッチンツールなのだなと、使うたびに実感しています。

★四角形のフィット感

また、冷蔵庫の四角いスペースに四角い保存容器がフィットし、庫内の整理整頓が簡単にできることで余計なストレスなく過ごせている気がします。
実は丸形のホーローの保存容器も使っているのですが、冷蔵庫の四角のスペースに丸形の容器は、”スペースに余裕がある時ならOK!”という残念な結果となっています。庫内はいつも清潔に、整頓された状態にしておきたい私にとっては、この四角の形がベストのようです。

ちなみにこの”ホワイトシリーズ”は、発売以来10年以上継続的に提供され、かつユーザーや生活者の支持を得ていると思われる商品・サービスのデザインを条件に推薦される「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞されているそうです。
愛用歴5年と、まだまだひよっこの私ですが、使えば使うほどこの受賞の理由に納得し、周囲に宣伝しているほどの溺愛ぶりです。

”わたし流”、野田琺瑯の保存容器の使い方

私が溺愛する保存容器(ホワイトシリーズのレクタングル深型 L琺瑯蓋付)の、”わたし流”の使い方を紹介します。

まず一年を通して冷蔵庫に鎮座しているのは、自家製の味噌や梅干し、らっきょう漬け用です。また、ぬか漬けの容器にも使用しています。においの強い食品の保存に適しているようで、容器へのにおい移りもなく本当に重宝しています。
蓋にはにおいが付きそうなので、私はラップをしてから蓋をしています。

★春
掘りたてのたけのこを茹でて水と一緒に保存する際に使います。
たけのこを縦半分に切って、水と一緒に保存するのでこの大きさと深さがちょうどいいのです。
そして新じゃがいもが出回るころには、ポテトサラダをよく作るのですが、ふかした新じゃがときゅうりや玉ねぎ、にんじんと、下ごしらえから調理、保存までこの容器ひとつで完結!
食べる時も容器のままテーブルに並べても、”さま”になるのがお気に入りです!

野田琺瑯 保存容器
ホワイトシリーズクタングル深型 L琺瑯蓋付



★夏
冷たいデザートを作る際に使います。
私は、ゼリーを作るときにはこの容器にゼラチン、砂糖、水を入れて直火にかけて調理します。

野田琺瑯 直火調理


粗熱をとって冷蔵庫や冷凍庫で冷やす際にも、金属素材の特性なのかあっという間に冷えていく感じがします。
そして、洗い物は計量カップと調理用スプーンのみ!暑い夏の家事は手早く済ませ、のんびり過ごしたいですもんね!
さらに蓋がついているので食べかけの保存時にも便利!冷蔵庫の中では、他の容器や食品を上に重ねて置くことができるのもうれしいポイントです。

野田琺瑯 ホワイトシリーズ 保存容器

また、サラダ用の葉もの野菜やミニトマトなどの保存にも活躍しています。野菜を洗って水分をしっかり取ってから、キッチンペーパーに包んで保存しておくと、鮮度が長持ちするように感じます。
何より、この容器を冷蔵庫から取り出すだけで、サラダを準備する時の手間がかなり省けるだけでなく、きちんと容器に保存しておくことでその食材への意識が高まり、食品ロス削減の一翼を担っている気がします。

野田琺瑯 ホワイトシリーズ 保存容器


★秋
さつまいものパウンドケーキを焼く際に使います。
実はオーブンでも使用もできることを知ったのは、購入してから少したってからでした。
汎用性が高いこの容器は、「購入後に数回使って棚の奥にしまい込む…」なんてこととは無縁ですね!
大切に、頻繁に、繰り返し使い続けることが、職人さんへの謝意と限りある資源の有効活用につながると思っています。
使うたびに、心からこの商品を選んで、購入してよかった、そしてこれからもずっと使い続けたいと思えるキッチンツールです!

★冬
季節の野菜のグリルや魚介類がたっぷり入ったグラタンを作る際に使います。
容器に深さがあるので、人数によって容器を変えることなく量だけ調整できるのも便利です。
直火でも使えるので、オーブンに入れるまでの下準備から保存まで、この容器でOK!洗い物も少なく、日々の家事を合理的かつ環境にも優しくしてくれています。
熱々のできたてを、家族それぞれが木製のスプーンで好きなだけ取って食べるのが、わが家の定番スタイルです!
金属製の器なので料理が冷めにくいのも、寒い冬にはありがたいですね。

野田琺瑯には、私が愛用するホワイトシリーズのレクタングル深型 L琺瑯蓋付の他にも、さまざまな商品が揃っています。
あなたのライフスタイルにぴったりな商品に出会えるといいですね!

商品一覧:野田琺瑯の商品

”わたし流”、野田琺瑯のお手入れ法

特別なお手入れ法というものはありませんが、私が特に注意しているのはさびとキズです。

特に、わが家で使用しているケトルの内側は黒っぽい色で見えにくく、注ぎ口の付け根部分がサビやすいということで、
使用後は中性洗剤とスポンジでしっかりと洗い、水分をしっかりふき取り乾燥させるようにしています。

このルーティンに慣れてしまうと、お湯を沸かす以外の時にケトルの中に水分が入った状態で置かれていることが、心地よくないと感じるようになりました。食事をしたら、歯磨きをするという感覚に似ていますね。

また、保存容器や鍋を使用する際には、木製やシリコン製のキッチンツール(お玉、スプーンなど)を使うようにしています。以前、金属製のスプーンを使用してキズをつけてしまったことがあり、かなりショックを受けました。

調べてみたところ、ホーローの硬度よりも金属製のスプーンの硬度が低いため、スプーンの金属が削られ付着してしまうそうです。

クエン酸やお酢でその汚れは取れるそうですが、はじめから金属以外のキッチンツールを使えばいいので、以後、注意しています。

その他のお手入れ法はこちらを参考になさってください。
野田琺瑯のお手入れ法

大切な存在が増えるという楽しみを…

今回は「野田琺瑯」をご紹介しました。
みなさん、いかがでしたでしょうか?

これまで私の中に、「キッチンツールは壊れたら買い替えればいい」という気持ちがありました。
保存容器も、軽くて割れない安いプラスチック製で、においや汚れが付いたら新しいものに買い替えていけば、いつでも清潔なものが気持ちよく使えると思っていましたし、実際にそうしている時期もありました。

野田琺瑯の商品に出会い、ホーロー製品を使い続けてきたこれまでの時間は、今まで知らなかったホーローの汎用性と限りない柔軟性を感じ取り、「モノを大切に使い”続ける”」ということを改めて私なりに考えた、大切な時間だったように思います。

その経験や時間が、私自身の考え方やライフスタイルを少しずつ変化させ、あくまでキッチンツールではあるのですが、まるで家族の一員のような、なくてはならない存在だと気付かせてくれたように思うのです。

野田琺瑯さんの「かたちがある限りお使いいただけます」のお言葉通り、これから先、何年、何十年と、季節ごとの料理や思い出とともにずっと一緒に同じ時間を過ごしていきたいと思う、そんな存在がまたひとつ増えていくということを、今、まさに楽しんでいる途中です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ライター:tmintchoco

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