有田焼の香蘭社 伝統を受け継ぎ新たなニーズに応える技と美

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私と香蘭社の出会い

なんだか心惹かれて手にする。それがモノとの出会いのきっかけですよね。

今回ご紹介する香蘭社のティーカップ&ソーサ―も心惹かれたのが始まりです。

家の食器棚には、いろいろな「焼きもの」の器が存在していました。

陶器も磁器もまるごと「焼きもの」として捉えていて、なんの知識もありませんでした。

大人になって、器に目がいき手にする自分に気付き、何気なく見ていただけなのに興味はあったのだなと感じます。

香蘭社と言えば、蘭をモチーフにした一輪挿しやお湯のみ。それが私の印象です。昭和の時代に合ったデザインとでもいいましょうか。

その私のイメージを変えたのは、ある百貨店でのショップに飾ってあったティーカップ&ソーサ―を目にしてからでした。

見た瞬間に「いいな、欲しい!」と、心をくすぐられたのです。

値札スタンドには香蘭社の文字が見えて同時にびっくり「えっ、これ香蘭社の?」

目の前には現代的な遊び心が取り入れられた感覚の、これまでの香蘭社のイメージとは全く違うティーカップ&ソーサ―が置かれていました。

ティーカップ&ソーサ―が好きで、毎年二客ほど新調するのですが、今までに持っていない感じを買う事がマイルールになってきています。

偶然目にした香蘭社のティーカップ&ソーサ―はそのルールに当てはまる、これまでに持っていないデザインのものでした。

今回は有田焼の老舗である香蘭社について、また私が心惹かれた製品についてご紹介致します。

陶器と磁器の違い

香蘭社の磁器を紹介する前に、陶器と磁器の基本的な違いについて説明しましょう。

陶器と磁器。似たように見えるので違いがよくわかりませんでした。実際は異なる特性を持っているようです。

陶器と磁器は原料、製造工程、外見によって違ってきます。

陶器とは

原料は主に陶土を用い、乾燥させて細かく砕き、水に溶かして自然乾燥させます。

800〜1,300℃の比較的低温で焼き、陶土を使用するので土ものと呼ばれたりもします。

熱しにくく冷めやすい性質、熱伝導率が低いので熱い飲み物を飲む場合に向いています。

磁器よりも吸水性が高くなります。

吸水性は高いですが、釉薬(ゆうやく)を施すので水を通すことはありません。

日本の有名な陶器としては、備前焼、萩焼、萬古焼、美濃焼、瀬戸焼(美濃焼、瀬戸焼ともに陶器、磁器がある)などが挙げられます。

陶器はざっくりとした温かみのある素材感が魅力で、和食器に多く用いられています。原材料の土のぬくもりが伝わりますね。

厚手のつくりで光にかざしても透けて見えることはありません。指で弾いたときの音は「コン」とやや低く濁った音が特徴です。

磁器とは

原料は主に陶石で砕いて粉末化した石粉を使用、水を混ぜて粘土状にします。1,200〜1,400℃の高温で焼き、石ものと呼ばれたりします。

陶器と比べて、吸水性が非常に低く硬度が高い点が特徴で、熱伝導率が高いので熱しやすく冷めやすいのが特徴です。

日本の有名な磁器としては、九谷焼、京焼、有田焼(伊万里焼)、波佐見焼などが挙げられます。

磁器は、洗練された白く美しい外観と光沢があり、機能性も備わっています。洋食器や日常使いする食器として愛用されています。薄手で耐久性があるのも特長です。

薄手のつくりで光にかざすと、うっすら透け感が感じられます。指で弾くその音は「キン」と金属音のような高い音が出るのも磁器の特徴です。

陶器と磁器の主な違いを挙げました。

その産地ごとの特徴によって、やきものは生まれてきましたが、焼きものの定義は時代や地域によって基準が異なるので明確に区別しづらいと言えます。

そこがまたなんとも奥深いものですよね。

有田焼とは

有田焼とは佐賀県有田町とその周辺地域で生産されている磁器のことをいいます。

古くは江戸時代、伊万里港から世界に出荷されていたこともあり伊万里焼とも呼ばれていました。

17世紀初頭、陶石が発見され、日本で初めて磁器が焼かれた産地として400年以上、食器、美術工芸品を中心にものづくりが続いています。

17世紀頃、ヨーロッパには有田焼のような磁器を作る技術がなかったので、有田焼を所有することは貴族のステータスとなり海外に多く輸出されていました。

骨董品などを扱うテレビ番組などで「古伊万里」と耳にしたことはありませんか?

文字通り、古い伊万里という意味で、江戸時代につくられた有田焼のことを指します。

有田焼は大別すると三種類に分けられます。

前述の「古伊万里様式」、江戸時代に作られ、染付してあるうえに赤や金の絢爛豪華な装飾技法が使われ華やかさが大変印象的です。

次に「柿右衛門様式」、柔らかく温かみのある乳白色の素地が特徴です。

こちらは海外の貴族などに向けての輸出用としても作られていました。

最後に「鍋島様式」です。鍋島藩直営の御用窯で諸大名の献上品として作られました。

青みがかった白い地肌、規則正しく描かれた文様、等間隔で精密な文様が高台に施されているのが特徴です。

こちらは庶民向けの日常品ではなく、もはや芸術品と言えるものが多く存在します。

有田焼の特徴をまとめると、

①ガラス質の原料を多く含む陶石を使用し高温で焼きあげるため、硬く耐久性に優れ、薄く繊細な磁器を作ることができる。

②様々な美しい絵柄が特徴。絢爛豪華なものからワンポイントのシンプルなものまで存在し、白磁の素地に絵付けがとてもよく映える。

③工程が分業制になっており、その一つ一つを熟練の職人たちが手作業で行っている。

有田焼は軽くて丈夫なため日常の食器として愛用されながらも、海外貴族向けの輸出や藩の伝統工芸として格調高い作品も作られてました。

400年以上の歴史を持つ有田焼は伝統を活かしながら進化をし続けているのですね。

有田焼の老舗 香蘭社

香蘭社の歴史は、今から約330年前、1689年に初代が肥前有田で香蘭社の前身となる陶磁器の製造が始まりです。

8代目が幕末から明治にかけて、当時の選りすぐりの陶工、絵付師、陶商たちをひとつにまとめ1875年に合本組織香蘭社を設立、1879年には九州で最初の法人企業となる香蘭社を設立します。

有田焼の海外輸出に尽力、世界各国で開催された多数の万国博に出品し、数々の賞を受賞し、海外でも評価を高めていきました。

陶磁製造の技術力も高く、1870年には日本で最初に電信用磁器製碍子(がいし)の開発に成功、通信、電力事業の発展に大きく貢献しました。

※碍子(がいし)・・・電柱などに取り付ける送電線の裸線を支える絶縁器具。磁器製。

1896年、宮内省御用達の栄を授かり、陶磁器での実績をはじめ、窯業の分野でも碍子製品、ファインセラミックスまで3つの事業で社会に貢献しています。

ここで、香蘭社という名前はどこからきたのだろう、とふと疑問が生まれました。

1875年の合本組織香蘭社の創業者5名は8代目深川栄左衛門を中心に、それぞれの技術、英知を提供し、心ひとつに蘭の香りの如く強い結束で結ばれることを誓い合ったそうです。

また、陶磁器の原料「カオリン」が「香蘭(コウラン)」と響きが似ていて、陶磁器の会社として世界に通用するように成長することを願い、「香蘭社」と命名されたそうです。

名前の由来が素敵ですよね。

香蘭社の理念にも感心します。

「伝統は時代とともに移りゆくもの。その時々、人々の要望に応えるものづくりを続けてきました。

常に時代に生きる皆さまを想い、過去にとらわれず未来に向かい、素材や製造技術、新しい表現に果敢に挑戦してきたからに他なりません。」

伝統にとらわれず、その時代を生きる人の要望に応える、これがなかなか難しいと思うのですが、老舗と言われる会社の共通点として、難しいことに柔軟に対応し、進化しているように思います。

創業者たちの精神を継承しながらも日本の技と美の研鑽を積み、最高質な製品とサービスで社会に貢献する、このような想いや理念が老舗としてのプライドのように感じるのです。

公式ホームページ 香蘭社

香蘭社 商品の魅力

私が子供の頃にイメージしていた香蘭社の製品は、時代が変わり多様化するニーズに応えるべく、いろいろな製品が出来上がっていました。

香蘭社と言えば、という概念はすでになく、アップデートされているのです。

私が心惹かれたカップ&ソーサ―はこれまでに見たことのないユニークなデザインでした。

それぞれのカップのデザイン(柄)が、ソーサ―のプラチナ面に映りこむと、草原を走るゼブラの姿に、そしてもう一客はフラミンゴの模様になるのです。

とてもユニークで遊び心にあふれていると思いませんか?

ティータイムのおしゃべりのネタにもなりそうです。

プレゼントにしようかなとも思いましたが、やはり自分のものにすることにしました。

素敵な絵柄やデザインは、これまでにも、その時どきの自分が、引き寄せられて気に入ったものを購入してきました。

しかし、今回出会ったこのカップ&ソーサーは、初めて出会う新鮮なものでした。

包装をしてもらいながら、一番最初には何を淹れて飲もうか、合わせるお菓子は何にするか、想像が膨らんだことを覚えています。

香蘭社の公式オンラインショップ

特別な日と日常と 暮らし方に合わせて選べる品揃え

香蘭社には華やかな特別な日のためのラグジュアリーなテーブルウェアと、日々の生活に寄り添い楽しむためのテーブルウェアとがあります。

丁寧なものづくりの精神はぶれることなくそのままに、多様化したライフスタイルに合わせ、毎日を彩る器も提案してくれています。

その幅の広さが魅力ですね。自分好みが必ず見つけられそうです。

お気に入りの器を使えば日常の生活に彩りを与えてくれることでしょう。

その時代の人々の嗜好と感性にあわせたものづくり

有田発祥の焼き物ですが、多様化するニーズに応えるために、岐阜にも工場を持ち、産地の特性やそれぞれに得意な技術を活かしてものづくりを行っています。

それにより、美しさと実用性を調和させバランスのとれた器を製造することができました。

新たに、骨壺や仏具などのメモリアル商品、ガラスや布製品など異素材を扱う企業とのコラボに取り組み、積極的に開発を行っています。

有田焼という伝統産業をどう受け継ぎ今後の展開へと繋いでいくのか、型にはまらない老舗の発想を見せていただくのが楽しみです。

創業以来の品質の高さへのこだわり

創業時の社是にも掲げられているそうですが、作り出すすべての商品の質の高さを高めなさい、ということが理念の一つにあります。

作り出すすべての商品は各工程で厳重な検査を受けて出荷されているのです。

根本である品質の高さへのこだわりはゆるがずに受け継ぎながら、新たな分野や製品づくりに挑戦していく姿勢が素晴らしいですね。

大切にすることは変わらずに、どんどん挑戦していただきたいと思います。

使用上の注意点

最初に使う前に、一度ぬるま湯で洗いましょう。

いきなり熱湯を注がず、洗うときは、磨き粉やたわし類、洗剤を原液のままで使用しないでください。

食洗器は、金線や絵柄を傷めることになります。長時間の使用は避けてくださいね。

香蘭社が創る、伝統と革新が融合する有田焼

いかがでしたでしょうか。香蘭社の製品に興味を持っていただけたら幸いです。

伝統を守りながら新しいものを生み出すのは、なかなか難しい作業だと思いますが、老舗ほどその柔軟さをお持ちのような気がいたします。

私が子供の頃に見た器やイメージ、もちろん香蘭社ではありますが、最近出会った香蘭社のティーカップ&ソーサ―は同じ会社の製品とは思えない、まったく違うものでした。

その出会いがとても楽しくて新鮮でした。

皆さまにもそんな出会いがありますように。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

ライター:吉田美佳

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