てぬぐい専門店かまわぬのおしゃれで便利なてぬぐいたち

日本で古くから愛されてきた「てぬぐい」。

和風で庶民的、銭湯や台所で使う布、そんなイメージを浮かべるでしょうか。

実は最近のてぬぐいは、もっと自由に、ずっとおしゃれに進化しているのです。

100円ショップで可愛いてぬぐいを見た、という方もおられるかもしれませんね。

私はプレゼントをきっかけにてぬぐいを使い始め、今までのレトロな印象が大きく変わりました。

そんな7年以上愛用し続けている、てぬぐい専門店「かまわぬ」のてぬぐいについてご紹介します。

目次

てぬぐいとは?

てぬぐいは「手拭」と書き、字の通り手を拭くために使う平織りの布です。

現代でいうタオルやハンカチのようですが、端が縫われていない「切りっぱなし」であることが特徴といえます。

これは切りっぱなしの方が早く乾き、雑菌の繁殖を抑え清潔さを保てるという工夫なのです。

シンプルな木綿の布ですが、水分を拭く、ものを包む、のれんにしたりとさまざまな使い方できる、日本らしいアイテムといえます。

てぬぐい専門店かまわぬ

かまわぬは、400種類を超える「てぬぐい」を取り扱う専門店です。(公式サイトhttps://kamawanu.jp/

日本の伝統文化に基づいたものづくりをしながらも、「100年後も愛されるもの」を目指した新しいデザインに挑戦されています。

限定品やコラボ商品など、一時期にしか購入できないものもたくさんあるんですよ。

一般的に販売されているてぬぐいの多くはプリントですが、かまわぬのてぬぐいは職人による注染(ちゅうせん)です。

てぬぐいを染めるすごい技術「注染」

「注染(ちゅうせん)」とは、明治時代に確立して広まった日本独自の技術です。

糸の中までしっかり染める技法によって、より複雑な柄を裏表なく染めることが可能になりました。

また布地が硬くならず吸水性の良さを生かせるため、てぬぐいにとって最適な染め方といえます。

和紙の型と糊を使う伝統的な「染め」は、熟練の職人による手仕事です。

天気や温度に合わせて染料や糊の硬さを調整することで、日々異なる染まり方を見極めていくのです。

手仕事だからこそ生まれる1枚1枚の差は味わいとなり、注染によるてぬぐいの大きな魅力となっています。

わずかなにじみが出る風合いを通し、手の中で日本の伝統を感じられる逸品です。

てぬぐいは伝統工芸品!?

伝統工芸品というと、繊細で手で触れてはいけないようなイメージがありますが、てぬぐいも立派な伝統工芸品です。

実際、台東区では区の伝統工芸品のひとつに選ばれています。

複雑な柄やぼかし、使用する色が多くなるほど熟練した技術が必要とされるてぬぐいは、日常使いする伝統工芸品なのです。

てぬぐいとの出会い

そんなかまわぬのてぬぐいとの出会いは7年ほど前、友人からのプレゼントがきっかけでした。

当時はまだ公式ネットショップがなく、カタログを購入して注文するか、実店舗で購入するしかなかったのです。

地方では取扱店が少なかったのですが、偶然にも我が家の近くにそのお店がありました。

以前からかまわぬファンだった友人は、そのお店からの帰りにプレゼントしてくれたのでした。

馴染みのない「てぬぐい」という存在に思わず「どうやって使うの?」と聞くほど、私とは無縁の存在だったのです。

とっても便利!

使い方の質問に対する友人からの返事は「ハンカチと同じだよ」でした。

でも実際に使ってみると、ハンカチとタオルの良いとこどりの使いやすさに手放せなくなりました。

タオルのような大きさなのに、たたむとハンカチと同じくらいコンパクト。

特に、子どもがまだ小さかった時期のお出かけでは、てぬぐいにたくさん助けられました。

ハンカチとして使うのはもちろん、食事をすることになった時にはスタイ代わりに使い、服が汚れるのを防いでもらいました。

寒ければひざ掛けにしたり、首に巻いてマフラーにしてみたり。

買い物帰りについてこないときには真っすぐ伸ばして手に持ち、即席電車ごっこ。

移動に飽きたときには柄の鳥を数えて遊んだことも・・・。

すっかりてぬぐいの魅力にハマってしまい、もっと欲しい!とお店に向かったのでした。

豊富な柄

お店にずらりと並ぶ柄は、伝統的な古典柄だけではなく、動植物モチーフ、季節の柄、カレー柄なんていう遊び心のある面白いものもありました。

それでいてお値段は1,000円ちょっと。

ハンカチと思うとお高く感じるかもしれませんが、長く使える伝統工芸品だと思うとこんなにお買い得なものはありません。

ずっと眺めていても飽きずに何時間も迷い続けてしまうほど、たくさんの種類があるのです。

今ではネットショップがオープンしましたので、私は新商品が発売されるたびに眺めています。

使い方はもっとたくさん

お店で出会ったのはたくさんの柄だけではなく、思いがけない使い方でした。

てぬぐいを額に入れて飾っていたのです。

そしてそれは今までのてぬぐいイメージと大きく違う、グラデーションのかかった一枚の絵のような図柄で、見惚れる美しさでした。

他にも、柄が小さくシンプルなものを北欧インテリアのファブリックパネルのように飾ったものもありました。

それらを季節や行事に合わせて入れ替える、お、おしゃれで丁寧な暮らし・・・!

和風な飾り方だけではなく現代の家にすっと馴染む、どころか、より素敵な部屋にしてくれるアイテムだったとは。

私の中で「てぬぐい」の印象が180度変わった瞬間でした。

さらに公式サイトでは、バンダナや、スカーフといったファッションアイテムとしての使い方が紹介されています。

てぬぐいを身に付けるといえば、頭に巻いたり首にかけたり、くらいに思っていたので「こんなに素敵に着こなすの!?」と驚きました。

かまわぬの公式YouTubeにはてぬぐいの色々な使い方動画がありますので、ぜひご覧になってみてください。

てぬぐいの歴史

「てぬぐい」の歴史は1,000年以上あり、奈良時代のころは神仏の清掃や神事の装身具として使われていたそうです。

鎌倉時代になると少しずつ庶民にも広まり始めますが、綿は輸入していた時代だったため高級品でした。

それが日本で綿花が栽培されるようになり、木綿の織物が普及するとともに、江戸時代には庶民にとって欠かせない存在にまでなったのです。

このころから「てぬぐい」と呼ばれ、様々な使われ方をしました。

入浴に使う、手や顔をぬぐう、ものを包む、のれんや日よけ、といった実用だけでなくおしゃれな小間物としても広く普及しました。

てぬぐいを頭に巻いたり、はちまきとしている様子は浮世絵にも描かれています。

古くなったてぬぐいは、布草履やはたきにリメイクして最後まで使われていました。

さらには個人創作の絵柄を発注し柄を競ったり、折りてぬぐいという技法まであったそうです。

まさに庶民の文化といえますね。

現代でも、名入れやオリジナルデザインのてぬぐいを発注することができます。

自分だけのオリジナルてぬぐいを、お祝いや記念として配るのも憧れますね。

てぬぐいイチオシの縁起柄

かまわぬのてぬぐいは古典的な柄や北欧テイスト、季節ごと、行事ごと、一枚の絵のようなデザインなど書ききれないほどあります。

中でも私のイチオシは、伝統文様をもとにアレンジしたオリジナルデザイン。

長く日本で愛されてきた縁起の良いモチーフを、さらに進化させた素敵なデザインをご紹介します。

立涌とタコ

立涌は「たちわく」「たてわく」「たちわき」などの呼び方があります。

蒸気や雲が立ち昇っていく様子を表しており、「運気が上がる」とされる縁起の良い文様です。

こちらのてぬぐいは、その立涌に生き物のタコを組みわせたデザインです。

タコも「多幸」の当て字や、足の数が末広がりの八であること、茹でた赤色が魔除けの色、などとされ縁起が良いとされています。

おせち料理にタコが入っているのもこのためですね。

青海波と柑橘

せいがいは、と読み、こちらも古くから縁起の良いとされている伝統文様です。

広い海に無限に続く波模様から、長く幸せが続くように、との思いと平穏な暮らしの願いが込められています。

こちらのてぬぐいは、その青海波に柑橘を組み合わせた模様です。

柑橘もまた、「かんきつ」のきつが「吉」に通じることから縁起がよい、とされています。

お正月の飾りでもお馴染みですね。

その「吉」をさらに大きく「大吉」にすることで、良いことが続きますように、との願いが込められたデザインです。

このように、昔から日本に伝わる文様にはそれぞれ意味があり、たくさんの願いが込められています。

てぬぐいの取り扱い方法

新しいてぬぐいは最初に「水通し」をします。

注染のてぬぐいは色落ち加工がされておらず、またプレスされているので硬めの手触りだからです。

洗剤を使わずにたっぷりの水で手洗いをすることで、色落ちも落ち着き柔らかくなります。

濃い色のてぬぐいでは色落ちも多いので、何度か水を替えてすすぎ洗いをしてください。

またこの時は色移りをしてしまうこともあるので、単体で洗いましょう。

洗い終えたら風通しの良い場所で陰干しします。

日光にあてても良いのですが、色褪せの原因になってしまうので注意が必要です。

干す際にピンと生地を伸ばすと、シワが目立たず綺麗に仕上がりますよ。

乾いたらほつれの始末です、長く出た糸だけを切っていきましょう。

使いながらお手入れしていくうちにほつれは止まり、自然とフリンジのようになります。

私はいつも、最初の水通し以降は洗濯機で他の洗濯物と一緒に洗っています。

ほつれが止まらないうちは抜けた糸の回収がしやすいように、洗濯ネットに入れるのがオススメです。

てぬぐいまとめ

日本で古くから愛されてきた、日常使いする小さな芸術品であるてぬぐいについてご紹介しました。

一枚あれば何通りもの使い方ができるので、現代の暮らしの中でも大活躍してくれます。

また使うほどに柔らかく馴染み、自分だけのてぬぐいに育てていくのも楽しみのひとつですよ。

デザインが豊富なので、あなたもお気に入りがきっと見つかるはずです。

みなさんの暮らしにもぜひ取り入れてみてくださいね。

ライター:あまなつ

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